トピックス・ニュース
5月1日発売の「商工ジャーナル 5月号」に掲載されました。
当社の取り組みについて、より詳しく知っていただける内容となっております。
ぜひご覧いただければ幸いです。
以下、記事より抜粋
プラスチック原料再生のパイオニア
1954年、石塚化学産業(株)は、日本初のプラスチック原料の再生メーカーとして創業した。創業者・石塚銀一氏は、当時、米軍キャンプで果物商を営んでおり、そこで回収した使用済みのプラスチック袋を集めて溶かし、再生プラスチック原料を作って販売したことが、再生材を扱う始まりだった。
現在、同社の柱となっているのは、着色・コンパウンド事業、商社事業、リサイクル事業の3事業で、それぞれが連携している。着色・コンパウンド事業では、樹脂にコンパウンド(化合)技術を施すことで、着色したり、強度を高めたり、耐熱などの改質を図る。商社事業では、バージン材(未使用材)をプラスチックメーカーから仕入れて国内外へ販売。リサイクル事業では、再生メーカーとして、廃プラスチックの回収からペレットの製造・販売までを手がける。プラスチックの再生方法は、次の二つに分類される。「ケミカルリサイクル」は、廃プラスチックを化学的に分解して化学製品の原料として再利用すること。「マテリアルリサイクル」は、廃プラスチックを別のプラスチック製品の原料に再利用することである。石塚化学産業が取り組むのは、後者のマテリアルリサイクルだ。
日本におけるプラスチックのマテリアルリサイクル市場は、順調に伸びてきたわけではない。1950年代、プラスチック原料は輸入材しかなく、再生品はその安さから飛ぶように売れたが、60年頃には使い勝手のいいポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂が国内コンビナートで作られるようになった。これにより、バージン材と再生材との価格差が縮小し、ユーザからの値下げ要求が激しくなった。70年代のオイルショックの際は、一時期バージン材が高騰したが、再び価格が下がり再生業者は苦境に陥った。
その中で、石塚化学産業が生き残れたのは、着色・コンパウンド事業と商社事業との連携があったからだという。その背景に、多くの再生メーカーは事業規模が小さく、再生材の品質が千差万別で信頼性に欠けることから、需要が広がらなかったという事情がある。石塚化学産業の場合は、銀一氏が長岡工業専門学校(現新潟大学工学部)出身で知識と技術があり、品質管理にも厳しかったことから、ユーザーとの信用・信頼を培い、事業を継続できた。石塚化学産業のリサイクル事業には、「クローズドリサイクル」と「オープンリサイクル」の2種類がある。クローズドリサイクルは、取引先企業から排出された廃プラスチック等を引き取り、コンパウンドなどを経て再生材を製造し、発生由来と同じ用途に戻す方法。オープンリサイクルは、市場から原料のリサイクル材を集めて、再生材を製造・販売する方法である。このリサイクル材とは、産業廃棄物や家電リサイクル法による廃材等が中心だという。現時点で売上の割合は、オープンリサイクルの方が多いが、今後はクローズドリサイクルの増加が予想される。なぜならば、2025年に資源有効利用促進法が改正され、包装資材産業や自動車産業、家電OA産業のメーカーは、リサイクルを増やす計画を国に報告することが義務化されたからだ。
再生プラ事業者の認定制度を創設
2018年、石塚勝一会長は、親交の深い同業2社と共に「心臓産業でプラスチックの未来を考える会」(通称・心臓産業の会)を発足させた。この組織は、再生プラスチック市場の活性化とイメージアップを図り、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルを検討することを目的にしている。組織名の「心臓産業」とは「動脈産業」(廃棄物を出す製造業や小売業)と「静脈産業」(廃棄物を回収・再生する業)をつなぐ“心臓”という意味を込めた。
再生プラスチックに関する法整備もなされた。19年に「プラスチック資源循環戦略」が策定され、22年に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」が施行された。
「法律の施行を受け、さまざまな企業から相談がありました。しかし、どの企業も情報収集だけで終わってしまい、商談には
発展しませんでした」(勝一会長)
商談まで至らなかった原因について、心臓産業の会のメンバーで分析した結果、“再生材に統一された基準がない”ことが主因ではないかと考えた。そこで、適正なマテリアルリサイクルの要件を満たす事業所や工場を認証する制度(後述)を新設することにした。
まず、心臓産業の会は、23年に(一社)サステナブル経営推進機構(通称・SuMPO)と事業連携協定を締結し、「再生プラスチック資源価値創造プロジェクト(サーキュラーエコノミープロジェクト)」を立ち上げた。同年10月には再生プラスチック事業者品質、安定供給、安全、環境配慮の管理体制を総合的に評価する「SPC(Sustainable Plastics Certification)認証制度」を創設。同認証には、50年以上再生プラスチックに携わってきたメーカーの品質管理や工程管理のノウハウが取り入れられている。
さらに24年、SPC認証制度の普及と発展、社会全体での再生プラスチック利用拡大などを目的に、13社が発起人となり(一社)SusPla(SustainablePlastics Initiative)を設立し、勝一氏が初代理事長に就任した。SusPlaには、トヨタ自動車㈱やパナソニックETソリューションズ㈱など動脈側の大手企業、大栄環境㈱など静脈側の大手企業が加わったこともあり、現在145社の正会員、
19社の特別会員が参加している。特別会員は、埼玉県などの自治体や大学の研究機関などで、全会員の4割を大企業が占める。
現在、SuMPOがSPC認証の管理団体となり、普及に努めている。
勝一会長は「再生プラスチックを素材の一つとして認めてもらうためには、トレーサビリティの仕組みも重要です。再生材の含有率、何からできているかという由来、プラスチックの種類の区別などを具体化する方向でSPC認証の高度化を図っています」と話す。
EUでは自動車部品の再プラ利用率増加へ
海外に眼を向けると、EUでは近々、自動車リサイクル法による「ELV規則」が施行される見込みで、現行の「ELV指令」よりも法的拘束力が強まる。規則案(2025年12月公表)によると、車両の部品・素材の3Rを推進し、新車に使われる再生プラスチック等の利用率を上げるべく、次の2段階の目標を設定した。再生材の割合は、施行後6年以内に15%、同10年以内に25%を目指す。日本の自動車メーカーでは、再生材の使用量を年35万tと予想している。
課題は、再生プラスチック原料が不足していることだ。これまで石塚化学産業では、家庭から出る一般廃棄物をほとんど使用してこなかった。これは、再生材の品質低下を恐れてのことだが、今後は調達先を増やすことになるかもしれない。
石塚惣一社長は「一般廃棄物由来の原料も使わないと、自動車メーカーの需要を賄い切れないと思います。我々は、一般廃棄物を扱う専門業者から中間原料を買い、車載向けに適切な添加剤を入れてコンパウンドし、均一化してから再生材を販売することを考えています。しかし、食品容器等には食品のカスなどが残っていたりするため、良質な再生材を製造する難易度が高くなります。現在、その研究開発を行っています」と語る。
高品質の再生材を作るノウハウを持つ再生メーカーは、リサイクルコンパウンダーと呼ばれる。同社もその一員だが、その中でも車載向けの技術を持つ企業は10社程度と推測される。再生材の目利きとして、同社の強みがこれから活かされる。
物一社長は「需要を見込んで今回、2億円以上の設備投資を行いました。量産設備の押出機には、フィルターに付着したごみをかき取るレーザー装置が付いています。他にも前工程で粉砕する設備や大型ミキサー、洗浄機、比重選別専用ラインも増設して処理能力を3割増にしました」と語る。
勝一会長は「日本のもの作り産業に寄与するような循環型の素材産業を目指したいという強い想いがあります。日本の家庭では、ペットボトルを丁寧に洗ってからごみ出ししてくれるように、ものを大切にする国民性があり、循環型社会を構築しやすい風土があります。今までは需要が少なく大手企業が参入しにくい業態でしたが、これからは大手も参入してくるかもしれません。そうした大手との連携や、同業者同士の連携を図って、プラスチックリサイクル産業がこれからも日本に必要な産業として残ってくれることを願っています」と締めくくった。
