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2026.09.18 (Fri)

環境新聞 2026年9月16日号に掲載されました

環境新聞 2026年9月16日 2817号に掲載されました。

以下、記事より抜粋

サーキュラーエコノミー実現を目指して

プラスチック資源循環の実現に向け、再生プラスチックの利用拡大を目指す「サステナブルプラスチックイニシアティブ(SusPla:サスプラ)」は、再生材を供給する「静脈産業」と、それを製品に利用する「動脈産業」が立場を超えて対話し、品質や供給安定性、用途開拓、制度など、再生材市場が抱える課題を共有しながら、持続可能な市場の形成を目指している。2024年7月に発足、25年4月には一般社団法人へ移行し、現在は170社を超える企業・団体などが参加するまでに活動の輪を広げている。再生プラスチックをめぐる現状と課題、そしてSusPlaが描くサーキュラーエコノミー(CE)について、石塚勝一理事長に聞いた。

――SusPla設立への経緯は。
2018年に当社を含む再生プラスチックメーカー3社が集まって、有志団体である「心臓の会」(心臓産業でプラスチックの未来を考える会)を立ち上げた。資源循環を進めるには、静脈側から動脈側へ、循環資源を押し出す「ポンプ」のような役割が必要ではないか。そのためには、再生材の価値をきちんと伝えていく必要があると考えた。その後、1社が加わって4社となった。19年5月には国が「プラスチック資源循環戦略」を策定し、30年までに再生利用を倍増するマイルストーンを設定した。われわれもこれを大きな目標として捉え、再生プラスチックの利用倍増を目指すことにした。しかし、実際には再生材に対する信頼や評価が十分に高まっていない。そこを何とかしなければならないという思いが、SusPlaにつながっていった。

――どのような取り組みから始まったのか。
再生材の価値を高めるには、再生材がどのような工程で作られ、どのような品質管理が行われているのか、利用する側に理解してもらう必要がある。そこで、23年3月にサステナブル経営推進機構(SuMPO)と4社とでプラスチック資源循環産業の発展・成長に向けた連携協定を締結し、「再生プラスチック価値創造プロジェクト」を立ち上げた。その成果の一つが、23年10月にSuMPOが発表した「SPC(Sustainable Plastics Certification)認証プログラム」で、再生プラスチック材料の製造に関わる企業の工程を認証する仕組みとなっている。

――SuPlaの意義は。
再生プラスチック市場を健全に発展させるためには、再生材メーカーだけでは限界がある。動脈側には動脈側の事情があり、静脈側には静脈側の事情がある。これまで両者は、それぞれの立場で仕事をしてきた。しかし、それでは資源循環は成立しない。双方が同じテーブルに着いて話し合う必要がある。そのための場として24年7月に設立したのがSusPlaで、25年4月には一般社団法人となった。

――現在の主な活動内容は。
再生材の価値向上、供給安定化、価値の伝達、品質など、テーマごとに委員会を設けて活動しており、会員向けの勉強会なども行っている。特に重要なのは、動脈側と静脈側が“共通言語”で話せることである。例えば「品質」という言葉一つを取っても、再生材メーカーが考える品質と、製品メーカーが求める品質が必ずしも同じとは限らない。自動車などでは非常に厳しい品質が求められる。一方で、用途によってはそこまでの品質は必要ない場合もある。必要な品質と、それに見合ったコストをきちんと整理することが、市場を広げる上で重要になる。

――CEは経済性も問われるが。
資源循環を進める上で、経済合理性は非常に重要だ。企業が事業として継続できなければ、循環も続かない。例えばPETを見ても、再生材の需要があって原料を回収しても、バージン材の価格が下がったり、海外から安価な材料が入ってきたりすると、再生材の価格競争力が低下することがある。環境のためだから利益を度外視して良い、ということではない。しかし、目先の利益だけを優先すれば資源循環は進まない。環境と経済のバランスを取りながら、場合によっては少し環境側を優先するという考え方も必要ではないかと思う。

――自動車への再生プラスチック利用がテーマになっているが。
自動車は再生プラスチックの大きな需要先になる可能性がある。一方で、品質要求は非常に厳しい。家電やOA機器などと比べても、自動車では安全性や耐久性などの面から厳格な評価が必要になる。再生材メーカー側でも、より高品質な再生材を製造するため生産設備や試験設備への投資を進めている。EUの使用済み自動車(ELV)規則の動きもあり、今後、自動車における再生プラスチック利用は世界的に大きなテーマになっていく。

――SusPlaとして今後、特に力を入れたいことは。
日本では年間約900万トン規模のプラスチックが生産・使用されている。その中で国内の再生プラスチック利用はまだ5%位だ。少なくとも20%程度は再生材として循環させる社会を目指したいと考えている。そのためにまず、再生プラスチックを使う動脈側に、再生材を使うことの意義をもっと理解してもらいたい。そして静脈側には、動脈側が何を求めているのかを理解してもらう。双方が歩み寄らなければならない。SuPlaを作った一番の目的は、再生プラスチックの健全な市場を作ることだ。再生材メーカーだけでなく、製品メーカー、ブランドオーナー、回収・選別事業者、行政、研究機関など、関係するすべての人が一緒になって市場を作っていく必要がある。

――理想のCEについてどう考えるか。
使い終わったプラスチックがきちんと回収され、必要な選別を行い、再生材メーカーに渡り、再び製品として使われる。その流れが当たり前になっている社会だ。まず「使い終わったプラスチックを資源として回収する」という考え方を社会に定着させることが重要である。そして、再生材を使う企業が「環境のために仕方なく使う」のではなく、「再生材を使うことが企業にとっても価値がある」と考えられる市場を作りたい。環境と経済を両立させるために、動脈と静脈が循環型社会の重要性を理解し、共通の目標に向かって進むことが必要だ。SusPlaは、そのためのプラットフォームでありたいと考えている。